風が吹くとき

せっかく再開したんだから、告知や機材の話だけじゃなくて映画の話とかもしていこうと思います。映画好きだし。

 

■『風が吹くとき』という映画を見ました。

 

1986年のアニメ映画です。原作は『スノーマン』等の絵本で有名なレイモンド・ブリッグズ。監督はジミー・T・ムラカミという日系二世。日本版の監督は大島渚(オリジナル版を見ていないのでこの日本版との違いが台詞回し的なところなのか大きな編集がなされているのかは不明)。

 

音楽的なところで話をすると、主題歌はデビットボウイ。劇中音楽をピンクフロイドのロジャーウォーターズが担当しています。

 

■話の内容(ネタバレあり)

 

東西冷戦の時代、核の脅威を描いた作品で、イギリスの片田舎に住む無知ながらも善良な老夫婦が、核攻撃に際して対策をしたり、核攻撃後もボロボロになった自宅でお互いに励ましあいながらも、徐々に放射能に侵され、弱っていく様を描いている。

 

なんせ絵柄もああいうのほほんとした感じで、ただ救いもなく進んでいくので本当にみている側としてはしんどい・・・。

 

常日頃から世界情勢について情報収集をしながらも、政府が発行した非常時のマニュアルを妄信し、時には自己流にポジティブに解釈をしながら行動をする旦那と、ニュースはゴシップにしか興味のない、戦争について楽観的過ぎる奥さん。ちぐはぐながらも着実に死に向かっていくさまが本当にしんどい。

 

巷では鬱映画なんて言われているようですが、実際今のコロナの状況と通ずるところがある気がします。前さんざんマスクや消毒液のことでいろいろあったっていうのに、昨今のイソジン騒ぎ。まったく成長していない。その人たちがこの映画見てこの夫婦のことをとやかく言えるかというと・・・。

 

喉元過ぎればなんとやらっていう点でもそうで、作中のこの二人は第二次大戦を経験しているのですが、大きな被害を受けなかったからなのか「あの戦争はよかった」みたいないい思い出みたいになっちゃっているのです。当時だったらそんなこと絶対言えなかっただろうに。

 

最初は倦怠感や頭痛、嘔吐などの内面的な被害も「気持ちの問題」「なれない生活からくる疲れ」なんて言っていた二人ですが、ついに肌に謎の斑点が出て髪の毛が抜け始めます。そんな段になってからあれだけ様々な対策を「そこまでしなくても」みたいな感じだった奥さんが「紙袋を被ったほうがいいかも」なんて言い出して二人で作ったシェルターの中で祈りを捧げながら亡くなっていくのです。

 

■残酷ながら誰にでも起こりうるリアル

 

原爆の時期でもあり、上にも書いたコロナ禍の騒動にも通じているようで、ぜひ今見てほしい映画だと思います。決して他人事ではない。

 

 

風が吹くとき

風が吹くとき

 
風が吹くとき デジタルリマスター版 [DVD]

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  • 発売日: 2009/07/24
  • メディア: DVD